原子力エネルギー基盤連携センター



原子力エネルギー基盤連携センター概要

2019年5月


原子力エネルギー基盤連携センター長 岡嶋 成晃
原子力エネルギー基盤連携
センター長 岡嶋 成晃

原子力機構は、2006年1月に、産業界等との共同研究を推進するプラットフォーム的機能を整え、その機能の提供と実効的な研究の推進をつかさどる組織として原子力エネルギー基盤連携センターを設立しました。この制度は、民間・産業界等と原子力機構との連携強化を目的とし、原子力機構が有する人材、基盤的施設・装置などの研究資源を活用して、社会のニーズを踏まえた研究開発を効率的に推進するためのものです。

この制度に基づいて、産業界等からの研究者が原子力機構内において機構職員と同等の身分を有し、研究に必要な資源である機構のインフラ、施設・装置を利用して、機構職員と共に研究開発を進めます。研究開発を進めるに当たっては、センター内に、産業界等からの研究者と機構職員からなる特別グループを設けます。特別グループでは、その研究活動を推進するために、理想的には共同で公募研究に応募して研究資金の確保(それまではゼロ資金)に努めるか、または、民間からの支出による収入型共同研究を実施することを想定しています。

この制度によって、産業界における研究拠点機能の構築や我が国の原子力技術・人材の維持・発展への貢献に努めます。

これまでに以下の分野において特別グループが設置され、所期の目的を達成したので、廃止されました。

超高感度非破壊検出技術開発の分野では、高速中性子を用いた核燃料物質を測定する手法を開発し、検出器の配置等について検討、設計、実証を行って、核セキュリティ技術の発展へと貢献しました。
放射線作用下での界面現象に関する研究開発分野では、原子力用機器の高経年化事象の評価法として、環境要因が誘起する材料表面の割れを迅速に定量評価する方法を開発しました。また、材料表面における放射線作用を評価するのに必要な基礎試験データを取得し、その解析を行いました。その結果、材料表面の高経年化事象を評価するにあたって、低温放射線照射場での腐食の異常加速や水素ガス放出が重要であることを確認し、放射線下の高経年化事象評価技術を高度化させました。
加速器RI生成技術開発分野では、加速器中性子による核医学診断で利用される99Mo等の放射性同位元素(RI)を分離・精製に関して、基礎試験データを取得し、解析を進めて、その見通しを得ました。特に、加速器中性子による99mTcの医薬品への標識化に世界で初めて成功しました(プレス発表済)。このように、加速器中性子によるRI製造に関し、必要な技術基盤を形成しました。
材料溶融挙動評価分野では、溶鉱炉における金属の挙動(溶融金属と溶融酸化物との相互作用や固体から固液混層、液相に亘る熱流動・反応など)に関する基礎知識やシミュレーション技術を活用して、原子炉過酷事故時の炉心溶融進展や圧力容器下部での溶け落ちを推測可能とするシミュレーション技術を高度化しました。
次世代再処理材料の分野において、耐硝酸性に優れた再処理機器用超高純度EHP(Extra High Purity)合金の実用化に向けて、高レベル模擬廃液中及びガンマ線照射下での耐食性試験を行い、管、板、接合継手の耐食性や機械的特性データ等を取得し、実用化に目処をつけました。
黒鉛・炭素材料の分野では、高温ガス炉へのさらなる展開に向けて、中性子照射による黒鉛の特性変化の評価、新しい黒鉛材料の高温ガス炉用途への設計用データの評価等を行って、黒鉛材料の技術を蓄積しました。

現在、以下の5分野に関して、センター内に特別グループを設けて、産業界や大学とともに研究開発を進めています。
軽水炉次世代技術開発分野
核燃料サイクル基盤技術分野
高温ガス炉要素技術開発分野
実用高温ガス炉主要機器設計分野
水素安全技術高度化分野

原子力エネルギー連携基礎センター 概要



原子力エネルギー基盤連携センター組織図

原子力エネルギー連携基礎センター 組織図

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研究グループ紹介

軽水炉次世代技術開発特別グループ

軽水炉システムの経済性や安全性の向上などに求められる次世代技術の内、モンテカルロ炉心設計手法の高度化や大規模三次元多相流CFD解析などを開発しています。開発した技術は、軽水炉の核燃料燃焼計算機能の向上や軽水炉心内の熱流動を解析するためのサブチャンネル解析コードなどで用いる多相流モデルの高度化に役立てます

核燃料サイクル基盤技術特別グループ

ガラス固化工程や再処理工程の運転やそれに伴う安全評価上の課題を解決するために、ガラス固化体および放射性廃棄物等の諸物性と化学的挙動を把握し、それらの分析法を開発しています。これらを通じて、ガラス固化工程や再処理工程における諸課題の解決に必要な基盤技術の整備と高度化を図っています。

高温ガス炉要素技術開発特別グループ

高い安全性、高熱効率による経済性向上を目指した実用小型高温ガス炉プラント概念を構築しています。また、ガスタービン発電システム、水素製造等の熱利用システムの適用によるプラント概念の高度化の検討も実施しています。

実用高温ガス炉主要機器設計特別グループ

安全性に優れ、多目的利用が可能な高温ガス炉の早期実用化に向け、蒸気タービン発電や化学プラントへの高温蒸気供給を目的とした高温ガス炉(原子炉出口温度750℃)の主要機器設計に関する研究開発を実施しています。

水素安全技術高度化特別グループ

発電用原子炉等の廃止措置、廃棄物管理における水素安全評価・対策に適切に対応するための基盤技術の整備と高度化に向けて、次の研究開発を行っています。水素の拡散・爆発燃焼挙動を解析評価する数値流体解析(CFD)による水素挙動統合解析システムの整備・構築、水素濃度上昇を抑制する受動的再結合触媒の開発。